補助金・助成金申請で大きく勘違いされていること その9
今回は、いよいよ補助金申請が採択されてから
実際にどのような事をやらなくてはいけないか
を説明します。
まずは、採択された内容から、補助金の
「交付申請書」を書かなくてはいけません。
今回も平成25年度に中小企業庁から公募があった
「小規模事業者活性化補助金」を事例に
考えましょう。
以下の内容の補助金です。
・この補助金の対象者は、日本国内に所在する小規模事業者であること。
・認定支援機関である金融機関等と協力して行う取り組みであること。
・下記のいずれかに該当する新事業活動であること。
(1)特定のニーズに対応した新商品の開発及び新サービスの提供等を行うもの
(2)地域のニーズに対応した新商品の開発及び新サービスの提供等を行うもの
新商品の開発や新サービスの提供に必要な経費に対して以下の補助率、補助上限額に
基づき補助を行う。
◎補助率:補助対象経費の3分の2以内
◎補助上限額:200万円
◎補助事業期間:交付決定日から平成26年2月3日(月)まで
「補助金の交付申請」とは、採択された案件に対しこの事業実施期間にどれだけの
支出を行うか、申請が必要です。
その時には、実施期間中の総事業費は150万円以上、300万円以下であることが必要です。
つまり補助金は総事業費の2/3なので補助金交付額100万円以下で申請することは
出来ないのです。
この部分が良く知られていない場合があります。
また事業終了後に、これだけの書類を準備
しなくては補助金として認められません。 このような準備があることを前提に補助金
として申請する経費を見極め、申請書を
書かなくてはいけません。
「何でもいいから申請すればいいや」と
闇雲に経費申請される方が非常に多いのです。
これは大きな間違いです。
では、実際に事業費として認められている
費用一覧と事業終了後の確定検査までに
必要な証憑です。
項目 | どのような費用で確定検査までにどのような書類が必要か? | |
1 | 直接人件費 | 補助事業に従事する人に対する給料が対象 補助金金額の50%が上限 時間単価 × 補助事業従事時間 で算出 時間単価の算出に健保等級を使う場合が多い 業務日誌の作成 人件費積算書の作成が必要である タイムカードや出勤簿の整備が必要である |
2 | 謝金 | 補助事業に関わる指導・助言を頂いた専門家等に支払う金額 依頼書・承諾書・実際の指導内容等の証憑が必要である 支払明細及び銀行振込受領書も必要である もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
3 | 旅費 | 補助事業に従事する人や②の専門家の出張等による旅費や日当が対象(日当規定あり) 出張命令書・出張報告書・旅費計算書が必要 クレジットカード決済は認められない タクシー、ガソリン代、高速料金、レンタカー代は認めない グリーン車、ビジネスクラス等の特別料金は認めない ・各種領収書 支払明細及び銀行振込依頼書 もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
4 | 機械装置等費 | 単価が税抜50万円以下の機械装置所得経費が対象 ソフトウェアの取得費、ライセンス、営業権取得費用も対象 中古品は認められない。汎用性の高いものも認められない (コンピューター、表計算ソフト、コピー機など) ・見積書 ・2社以上の相見積書もしくは選定理由書 ・発注書 ・納品書 ・機械の写真 ・請求書 支払明細及び銀行振込依頼書 もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
5 | 借損料 | 機器・設備等のリース、レンタル料の経費が対象 ・見積書 ・2社以上の相見積書もしくは選定理由書 ・リース、レンタル契約書 ・機器設備使用簿 ・請求書 支払明細及び銀行振込依頼書 もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
6 | 原材料費 | 補助事業期間中に補助事業に使用するために購入した原材料、副材料の購入経費が対象 補助事業終了時点での未使用分購入費は認めない 自社で保有している原材料を使用した場合は認めない ・見積書 ・2社以上の相見積書もしくは選定理由書 ・発注書 ・納品書 ・請求書 ・受払簿(使用明細) 支払明細及び銀行振込依頼書 もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
7 | 展示会出展費等 | 新商品や新サービスの市場調査や販路開拓を目的とした展示会等の出展・商談会の開催の経費が対象 関連する運搬費、通訳料、翻訳料も対象 ただし、展示会の開催日が補助事業期間内であること ・見積書 ・2社以上の相見積書もしくは選定理由書 ・契約書または申込書、発注書 ・展示会や商談会の写真及び出展記録 ・請求書 支払明細及び銀行振込依頼書 もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
8 | 広報費 | 新商品や新サービスに関する広報活動費が対象 パンフレット、新聞広告、CM、折り込みチラシ等のデザイン、制作、印刷費用も対象となるホームページ作成やWEB広告等も対象になる ただし、ホームページ上で新商品を購入できるようにしてはいけない。 パンフレット配布の場合は配布先リストが必要である ・見積書 ・2社以上の相見積書もしくは選定理由書 ・契約書または申込書、発注書 ・成果物(コピー、写真でもOK) ・配布物の場合は、配布先リスト ・請求書 支払明細及び銀行振込依頼書 もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
9 | 産業財産等取得費 | 新商品、新サービスに対する特許権や実用新案等の「産業財産権」の取得等に関する経費が対象 主に弁理士の手続き代行費用が対象になる ただし、補助事業終了日までに出願できない場合は対象外 特許庁に納付される経費は対象外 ライセンス、営業権の取得や認証、資格取得費用は対象外 ・見積書 ・2社以上の相見積書もしくは選定理由書 ・契約書または申込書、発注書 ・出願手続が確認できる書類 ・請求書 支払明細及び銀行振込依頼書 もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
10 | 委託費 | 補助事業の一部を第三者に委託する場合の経費が対象 ただし、補助金金額の50%が上限 委託先との契約書により、成果物が事業者に帰属するのが条件 ・仕様書 ・見積書 ・2社以上の相見積書もしくは選定理由書 ・契約書または申込書、発注書 ・成果物一式 ・請求書 支払明細及び銀行振込依頼書 もしくは銀行通帳のコピーも必要である |
そして、事業終了時には、これら全てを分かりやすくまとめた「事業費積算表」も
作らなくてはいけないのです。
これら全てを「証拠資料」として全てファイリングし、総括として「事業積算書」を
提出しなくてはいけないのです。
ここが全く知られていません。ここまでやらないとダメなのです。
だから、「タダほど怖いものはない」のです!
この資料作成で、小規模事業者は天を仰いで
しまうのです。
「こんなに大変なんだ・・・」と。
この補助金事業の最終日は、今年の2月4日です。
今頃、この補助金受託した人はこれらの書類と
戦っているはずです。
補助金は税金ですからね。仕方ないのです。
さて、ひどい思いをして書類の山との格闘が
終わりました。
実は補助事業が終わってからも、書類はまだまだあるのです。
ちなみに、大変な労力のかかった補助事業が終わったこの時点でも
まだ補助金は1円も入金されていません。
次回で私のこのコラムは最終回になりますね。
最終回は、この「最後の書類」について書かせていただきます。